皆さん映画はお好きですか?最近は映画館の数も増え、子どもから大人まで気軽に映画を楽しむことができますね!
名作映画は数多くありますが、今回ご紹介するのは、名作ランキングに必ずと言っていいほど上位にランクインするエリック・トレダノ監督のフランス映画『最強のふたり』。
2011年に上映されてから数々の映画賞を受賞しており、主演の二人も最優秀男優賞を受賞。日本で公開されたフランス語映画のなかで歴代1位のヒット作となった傑作です!
今回は、映画「最高のふたり」あらすじネタバレ感想と、実話のモデルとなった二人の現在も紹介していきます!
Contents
映画「最強のふたり」あらすじネタバレ
パラグライダーの事故で全身麻痺になってしまったパリ在住の大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)。
そんな彼は住み込みで働く介護人を雇うため面接を行い、そこで出会ったのがスラム出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)。しかし、彼は不採用証明で失業保険を得ることが目的でした。
ところが、面接に訪れた誰よりも自由で素直なドリスの人間性にフィリップは惹かれ、周囲の反対を押し切って彼を雇うことを決めます。
ドリスは仕事は少し雑でしたが、フィリップを病人としてではなく一人の人間として接するドリスに対し、フィリップは徐々に心を開き親しくなっていきます。
身分や性格、住んでいた環境、何一つ共通点がなかった2人のユーモア溢れる友情映画です。
見どころ①フランスが抱える社会問題が見え隠れしているコメディ作品
この映画は、現代のフランスが抱える福祉問題、移民労働者の職に関する問題や社会問題など、観ていくうちに多くのテーマが見え隠れする場面が多々ありました。
フランスの大富豪であり由緒ある家系の白人フィリップと、貧しい家で生まれたスラム街出身の黒人ドリス。
フランスでは、移民系の黒人が職を得ることは非常に難しいそうです。そのためドリスは働きたくても就職先が見つかりません。
しかし、家族が多く家計の足しとなるお金が必要だったために、早急にまとまったお金を手に入れることができる失業保険を取得しようと就職活動をしていました。
そういった就職難などを理由に家族とうまくいかず、母親に「出ていって」と言われ家を追い出されてしまいます。そこで出会ったのが、身分も違い、普通に過ごしていれば接点がないはずの大富豪フィリップでした。
見どころ②障がい者を「特別扱い」することが優しさなのかを教えてくれるドリス
本作のメインテーマである『健常者』と『障がい者』。偏見や考え方など、タブーとなりがちな重めなテーマに真っ向から向き合っているのがこの映画。
フィリップの周りの人々は、彼を「障がい者だから」と常に特別扱いをするのが日常です。彼はそんな特別扱いに嫌気がさしていました。
そんなフィリップが外出する際に、彼を車椅子ごと車の荷台部分に乗せるのをドリスが見て
「こんなの嫌だ。そうだろ?馬みたいに後ろに乗せるなんて」
と驚きフィリップに問いかけます。
ドリスは、フィリップに対し『障がい者』というレッテルを貼らず、自分や他の人と同じように彼も座席に座るべき一人の人間だという考え方なのです。
そして、周囲の自分への接し方に嫌気がさしていた彼にとって、ドリスのその素直な態度や人間性はきっと救いだったのかもしれませんね。
この作品の中には、思いっきり差別だと捉えられるようなドリスの発言やシーンもかなり多かったです。
しかし、ドリスには悪気はなく、思ったことや感じたこと、疑問を素直に口に出しているだけ。彼にとって「障がい者だから」という目線そのものが、フィリップへの差別に値するものだったのかもしれません。
障がいに対するどういった認識が相手にとっての差別となってしまうのか、一人の人間への向き合い方を考えさせられる場面です。その反面、障がいに対する洗練されたブラックジョークから下ネタまで盛り沢山で、笑いどころが満載でした!
フィリップがドリスの食べているチョコレートを欲しがる場面で
「このチョコレートは健常者用」
というド直球のブラックジョークや、フィリップの体が動かないことをいいことに彼の体をおもちゃのように遊びます。日本ではタブーとなっている表現が多いですよね!
しかし、フィリップが障害による発作を起こしてしまったときは、ドリスは彼の部屋に飛んでいき、苦しむフィリップに寄り添う場面もあります。
彼らは介護人と雇い主という関係ではなく、親友として傍に寄り添って助け合っていたのです。
映画「最強のふたり」は実話だった!モデルとなった実際の人物の現在は?
映画「最強のふたり」は実話がベースとなっており、主人公のフィリップとドリスは、実在の人物。
2001年に「Le second souffle」という本が出版されました。著者はフィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴ。この映画の主人公フィリップ本人です。
この本は、フィリップ自身の生い立ちから事故後の生活、そして介護人アブデル・ヤスミン・セロー(ドリス)のことが書かれています。
つまり、映画のベースとなった原作がこの本であり、そしてフランスで大きな話題となって実在のフィリップとドリスはテレビ番組出演、映画化と至ったそう!
ちなみにこちらが実在モデルのお二人!
ドリスは映画ではアフリカ系移民という設定ですが、本人はアルジェリア出身の地中海で、フランスのスラムで生まれ育ったそうです。
フィリップは現在、再婚してモロッコで家族と共に暮らしており、ドリスもフィリップの元を離れ結婚。3人の子宝に恵まれ、企業の社長として幸せに暮らしているとのこと。
映画公開の際は二人で劇場に訪れるなど、今も関係は続いているそうです!
フィリップの人生に起きた数々の不幸を、傍で明るく笑いとばすドリス。そんなドリスに元気をもらい、笑顔を取り戻していったフィリップ。
相手の足りない部分をお互いで補い、支えあって共に生きていく。そんな2人の絆に心打たれるものがありますね!
映画「最強のふたり」個人的な感想まとめ
映画「最強のふたり」は、ただ感動するヒューマン映画なだけではなく、社会的、主に「障がい」への認識を大きく変えるきっかけになる作品だと思います。
私自身もこの映画をきっかけに「障がい者」の方への認識にハッとさせられた場面が多かったです。
頭のどこか片隅に「障がいがあるから」という固定観念があり、一方的に障がい者の方を特別扱いしてしまっていた部分があったかもしれないと気づき、相手の気持ちを尊重して歩み寄ることの大切さを学ぶことができました。
押し付けがましくフランスの社会問題を前面的に打ち出しているわけではなく、ただ観るだけなら愉快で笑えるコメディ作品。
「障がい」というテーマでどうしても重くなってしまいそうな本作ですが、ドリスの発言や対するフィリップの反応でむしろ笑えて観る人をハッピーな気持ちにさせてくれる映画はとても新鮮でした。
実話を元にしている作品ということもあって、ストーリーに無理もなく自然と感情移入することができました!演出や流れるBGMも柔らかく、内容に集中して鑑賞できます。
まだ観ていない方や観ようか悩んでいるという方には、迷わずおすすめできる名作映画です!